2026年10月11日|在庫管理の基本
前回は、ばらつきの大きさは標準偏差という一つの数値で表せる、という話をしました。今回はその中身を見ていきます。使うデータは前回と同じ、どちらも平均100個の次の2つです。
① 100、102、98、100、103、97
② 100、150、50、190、10、100
どちらも合計600個を6回で割って、平均は100個です。
各回が平均から何個ずれていたかを計算します。これを偏差といいます。
① 0、2、−2、0、3、−3
② 0、50、−50、90、−90、0
この時点で、②のほうがずれが大きいことは分かります。ただ、このまま平均してはいけません。プラスとマイナスが打ち消し合って、どちらもゼロになってしまうからです。
そこで、それぞれの差を二乗します。二乗すればマイナスが消えるので、打ち消し合いません。
① 0+4+4+0+9+9=26
② 0+2,500+2,500+8,100+8,100+0=21,200
合計のままではデータの個数に左右されるので、ならします。
① 26 ÷ 5 = 5.2
② 21,200 ÷ 5 = 4,240
この値を分散といいます。6個のデータなのに5で割るのは、手元のデータから全体のばらつきを推測するときの決まりごとです。ここでは「そういうもの」として読み進めてください。あとで説明します。
分散は二乗したままなので、単位が「個の二乗」という妙なものになっています。元に戻すためにルートをとります。
① √5.2 = 約2.3個
② √4,240 = 約65.1個
これが標準偏差です。同じ平均100個でも、ばらつきの大きさは約2.3個と約65.1個、およそ28倍の差があることが数値で分かりました。
手計算をする必要はありません。Excelで =STDEV.S(範囲) と入力すれば、同じ数値が出ます。大事なのは、計算のしかたより、この数値が「平均からどれくらいずれるのが普通か」を表しているという意味のほうです。
①の商品は、平均100個からせいぜい2〜3個ずれる程度。②の商品は、65個ずれても不思議ではない。だから安全在庫の持ち方が変わるのです。
次回は、この標準偏差を使って安全在庫を実際にいくつにするかを計算します。